秋の仕事

いよいよ9月も今日で終わり。俺の住んでいる五家荘というところは熊本県の山奥にあり、朝はめっきり冷え込むようになりました。

こないだの台風14号とその後に降った雨で道路にかなりの被害が出ています。生活のための行き来に甚大な影響があるのはもちろん、これからやってくる紅葉の季節にも大きく影響します。場所によっては復旧までに数年単位の時間が掛かるという見方があり、事態は深刻です。

五家荘の紅葉と言えば九州でも屈指の名所として知られていて、毎年多くの観光客が訪れます。何と言っても自然・天然の紅葉が地域内の行く先々で見られるというのが素晴らしい。

しかし道路事情が改善・解決されなければ堂々と「どうぞお越しください!」とは言えず、かといって観光客が来なければ五家荘の販売業者・民宿・観光施設にとっては書き入れ時であり、ここで稼げないと死活問題というわけです。

俺の秋の仕事でも五家荘を観光して五家荘の民宿に泊まることは複数回ある予定なので、今後の復旧状況から目が離せないところ。

というわけで、五家荘でのガイドを含む秋の仕事は昔から付き合いのあるドイツの旅行会社からの依頼を含めてある程度確保されています。といっても2019年までの状況に比べると全然足りてはいないですが。これからはやはり個人客からの依頼がどれほど来るかに掛かっています。

期待しているのは12月のシンガポールからの依頼。シンガポールでは12月に学校が学期間の休みに入るので、それに合わせて親も休暇を取って家族で旅行に出るという流れがある。

2019年まではこれによって12月はほぼシンガポール人客へのガイドで収入がありました。今年も是非それを期待しているところですが、パンデミックで一旦その流れが断ち切られたのが非常に痛いところ。

シンガポールは金融・IT が非常に発達していることでよく知られていますが、意外と「口コミ」を重要視しているとのことで、それによって俺自身の高評価が伝えられて仕事が取れてきたという背景がありました。国土の狭い国ならではというとこか。

株式市場の代表的指数だけで判断することは出来ないけども、「株価は半年先を織り込む」という格言を信じてとりあえずやってみると

過去半年で

ドイツ DAX: -20%
米 Dow Jones: -17%
新嘉坡 STI: -10%

どれも下落していますが、シンガポールは西洋各国のような下落幅には至っていません。詳細を確認していないので分かりませんが、恐らくインフレを抑え込むための急速な金利上昇を実施していないためでしょう。

一般的な話で言うと、金利を上げると景気を冷え込ませて物価を押し下げる効果があります。COVID によるロックダウンで停滞した経済・生活を支えるために給付金がばらまかれ、それによって生じたカネ余りの行き先は株式市場や仮想通貨を含む金融市場でした。そして大きなインフレを引き起こして各国の人々の生活を脅かす結果を生じさせました(”cost of living crisis” = 生活費危機と呼ばれている)。もちろんロシアによるウクライナ侵略がそれに拍車を掛けているのは言うまでもありません。

それを抑え込むために各国は国策として急速に金利を上昇させ続けています。しかしこれは諸刃の剣で、景気が悪くなれば倒産する企業も続出し、職を失う人々も多く出てきます。それが連鎖すれば新たな世界恐慌に繋がりかねないとも分析する人も少なくありません。

その結果として真っ先に削られる支出は娯楽です。
旅行・観光は飽くまでも「余暇」なので、不況時にはイの一番に削られるでしょう。インバウンドが復活するからと言っても、世界的な不況の観測があり来年のことは楽観視できません。薄利多売の商売については苦しい期間が続くでしょう。

中国のゼロコロナ政策はまだしばらくは続くでしょう。習近平の3期目が確実になり権力闘争が収まるまでは大量の中国人が旅行に出かけるということが期待できません。そう、ゼロコロナ政策は中国人民を守るという目的ではなく、飽くまで政治的なことだと思っています。国内向けの権力闘争と西洋各国との経済戦争の一環でしょうね。