通訳案内士の仕事 1

大変遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
2017年はあっという間に駆け抜けていきましたが、大変実りのある年となりました。2015年4月に40歳を目前にしての個人事業主としての開業。しかも特に裏付けなし。「為せば成る!」とばかりに始めた通訳案内士の仕事が、昨年ようやく形になったきました。

1月4日より、通訳案内士法が改正され、資格なしでも通訳案内が合法化されたということで、これから状況も色々と変わってきそうです。特に旅行会社の方々はおおっぴらに安いガイドが使えるようになってお喜びのことかもしれません。私も生き残りをかけて自分なりにノホホンとやっていきたいと思います。
というわけで、今回から「通訳案内士の仕事」と題して業務の方法や仕事の取り方や普段の暮らしなどを書いていこうかなと。これからガイドを始める方々の参考になれば幸いです。

目次

ガイドの仕事

まず、通訳ガイドの仕事についてです。
通訳ガイドのことを、「外国語をペラペラ話して外国人を応接する華やかな仕事」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私の意見では通訳ガイドにとって一番大事な仕事は、お客さんに安全に日本での観光を楽しんでもらうことです。それを支えるために該当の外国語を用いるわけです。外国語は飽くまで手段に過ぎません。

それに付随して、日本の歴史・伝統・文化・慣習・生活習慣などを織り交ぜながら観光地や観光地に行くまでに説明を行い、日本のことをより深く知ってもらうことで日本の滞在をより価値あるものへと高めるというのが、通訳ガイドを雇ってもらった付加価値というものだと思います。そのために決して安くない料金を頂いています。

というわけで、通訳ガイドの業務としての比率はいわゆる「添乗員業務」が大きく、それを遂行するための能力というものが外国語の通訳能力よりも大きく求められるものだと思います。つまり、この仕事は「通訳」というよりも「ガイド」なのです。

ガイドの業務形態

私を含めて周りのガイドの皆さんは、個人事業主としてガイドの仕事を行っている方々が多いようです。他にも旅行会社に勤めながら従業員として通訳ガイドの業務をする方、それから主婦で家事の合間にする方などがあるようです。特にガイド業を始めてすぐには簡単に仕事が取れないので、副業として始めるか十分な貯蓄がないと難しいとこがありますね。

しかしながら、嫌な上司や社長の下で働かなくていいというのはかなりの利点です。どこにでもいるでしょ?理不尽な上司は。なぜあのような輩が存在するのかがわかりませんが、ともかく俺はそういう世界から離れたくて仕方がなかったのと、十代のころに「英語を使った仕事をしてみたい」というのがモチベーションとなって、個人事業主としてガイドの仕事を選んだわけです。

・個人事業主

・旅行会社などでの勤務

・主婦(しかしこれも個人事業主になりますかね)

あとは、定年退職した方々が退職後の仕事や趣味として行うこともあるそうです。報酬を受け取り業務として行っている方々は歓迎ですが、“趣味”として無料もしくは極端に低い価格で行う方々に対しては批判的な見方を取らざるを得ません。私のようにガイド業で生活をしていこうという人がこれまでもおり、これからもインバウンドの盛況でガイドになろうという人たちの営業の妨げになるからです。

ガイドの依頼の取り方

通訳ガイドとして業務を始める時に、まず一番の肝となるのがこの項目です。いくら英語がうまくて案内が上手であったとしても、そもそもお客さんからの依頼がなければその類稀なる能力も発揮できないでしょう。

まずは服を脱ぎます。そしてガイドの依頼がどこから・誰から・どのようにして来るのかを考えてみましょう。ポク・ポク・ポク・・・チーン。来ません!裸の男に仕事の依頼なんぞ来るはずがありまっせん。

では、服を着てください。そしてそのほかに何が必要か考えていきましょう。日本への個人旅行を考えている人がどうやって訪れる予定の土地を調べるのか、それは勿論インターネットですよね。ということは、そこで「tour guide kumamoto」と検索された時に引っかかるように仕向けなければいけないのです。釣り糸も垂れていないのに魚は取れません。

そのために考えられる手段としては


・自分のウェブサイトを作る

・TripAdvisorなどの観光サイトでガイドとして紹介される

・マッチングサービスを行っているサイトに登録する

・旅行会社から仕事をもらう

などがあります。私は上記の上2つを実行しています。基本的に「人に雇われて仕事をしたくない・ヘーコラしたくない」という強い理念のもとにこの仕事をしているので、マッチングサイトには登録してません。が、手っ取り早く仕事を得る手段としては最速なんじゃないでしょうか。もちろんある程度の手数料を差し引かれます。
ウェブサイトを立ち上げても、それですぐに問い合わせが来るわけでもありません。作ったばかりのサイトはGoogle検索で「普通では見つからないほどの」後ろのページにしか表示されないからです。誰でも、興味のあることを検索した時には1ページ目に目を通してそこでお目当てのサイトが見つかったら2ページ目にはいかないでしょ?そういうわけで、このサイトを1ページ目に表示させる、出来ればその上部に表示させるというのが必須となってきます。

サイトをGoogle検索ページの上位に表示させる方法としては色々とあり、ここで簡単に説明できることではないので「SEO対策」でググってみてください。

旅行会社とのつながりを作ってそこから仕事をもらうという方法については、私は日本の旅行会社から仕事を依頼されて請け負った経験がないのでここでは何も書けません。
高学歴かつ人から尊敬の眼差しで見つめられるような職に就いていたという方なら、旅行会社と渡り合って仕事を請け負うというのも大有りだと思います。特に「スルーガイド」という、団体を相手に・複数の観光地を・複数日に渡って仕事をするという、オイシイ仕事がもらえることもあるようです。まあ、それなりの実績がないと依頼されないとは思います。

日本の会社とは繋がりはなくとも、海外の会社と直接契約を結ぶ方法もあります。私は幸運にも熊本県の外国人観光客誘致事業に関わる機会があったので、そのつながりでドイツ・オーストラリアの旅行会社からガイドの仕事を定期的に受注しています。

日々の勉強

お客さんと観光地を訪れる中で、色々な話題について話すことが多くあります。日本全般の話題をはじめとして、その土地ならではの伝統・慣習などについても言及する機会も出てくるでしょう。通訳案内士の資格を取った方ならば、日本全般の歴史・地理・一般常識については最低限踏まえているはずですが、それぞれの土地までカバーするとなるとさらに勉強する必要が出てきますし、それには書籍やネット上だけではできないこともあります。つまり、足を運んで自ら調べるしかないのです。そのための時間も必要になりますし、費用も掛かります。

さらに、これらの日本の事柄と海外各国の違いが判ると、会話の中に活かすことができます。日本の何がその国と違うのか、例えば日本の大学生は在学中に就職の内定を取るのが一般的ですが、海外の多くの国では卒業後にゆっくり休暇を取ってから仕事を見つけることも多くみられる、、、等々。よその国に行っての楽しみの一つは「違いを楽しむこと」にあります。その違いをこちらから教えることで、お客さんには「ああ、日本にいるんだなあ」感を楽しんでもらえます。

また、最新のニュース(国内・国外)にも目を通しておくことで、お客さんとの会話にも支障をきたすことなく、ガイドとしての信頼度向上に繋がります。

まとめ

差し当たって簡単に通訳ガイドについて書きなぐってみました。これから細部の説明に移って行こうと思いますので、どうぞお楽しみに。

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