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講師養成講習会に応募

日本語と英語の文脈依存の違い

無職になった。といっても、未だに「通訳案内士」として個人事業主であることには変わりはなかとばってん。

3日前に「橋崎くん、これが終わったらもう終わりだけん。」との通告を出される。日本語はよく high context language と言われるが、裏を返せばそれをうまく使いこなす民族にとっては便利な言語である。文脈的に不要な部分はわざわざ喋る必要はないし、暗に含みを持たせることで、いろいろな(場合によっては都合の良い)解釈が出来るわけだから。

high context とは「文脈依存度が高い」という意味で、なんでもかんでも明示的に叙述する傾向の高い英語に比べて日常会話では曖昧な言い方をする日本語が、それに当てはまる。

↑ の通告をもっと具体的にしてみると「ここの現場のこの工程が終わったら、橋崎くんの雇用契約は終了だよ」という言い方になる。しかしここの監督は、この通告を言いづらいところがあったのか、それとも単に普段からそういう言い方をするのかは知らんが、「これが終わったらもう終わり」などという、状況が分からなかったら真に理解が出来ない言い回しをしたわけだ。まあ、そもそもそういうことは終了2日前ではなく、せめて1週間前には示すか、本来なら現場での業務に就く際におおまかでも雇用期間を示しておくのが現代的なやり方だと思うが。

ちなみに、「間もなく無職になる」との旨をFBに投稿したらすぐに他の人から連絡があって、多分来週月曜から山の中での現場仕事を手伝うことになると思う。この事業者とは8月に数日間だけ仕事をしたのだが、どうやら彼らは人手不足が問題らしい。といっても、俺も長くそこで働くつもりはない。やっぱり自分が主体となって仕事をすることを経験したら、雇用されて働くことの精神的な辛さは耐え難い。あとは、もう中年になると新しいことを覚えるのに時間が掛かるというのも大きい。理想は、今まで培ってきた知識・経験を活かした分野での仕事をやっていきたいというところ。

英語はその構造上、必要な単語を順序良く並べて話さないと意味が通じなくなる。日本語は「てにをは」があるおかげで、各単語の位置を大幅に変えたとしても意味が通じる言語だ。

英語での I go to school every day. を日本語の文法に並び替えると
I every day school to go. になるだろう。そうすると英語話者とは全く意思の疎通が出来ない。しかしながら日本語の「私は毎日学校に行きます。」 を「学校に行きます、毎日。私は。」でもほぼ同様の意味として聞き手には捉えられる。もちろん、若干の意図の違いはあるけども。

「ねえ、知っとる?」という何気ない言い方も、それをそのまま英語に訳して喋ってみたら通じないだろう。

Hey, know? では、言われた側はこれが Hey, no? と言われたのかとしか思わないだろうし、そもそもそんな言い方はしないので全く理解が出来ない。つまり、Hey, did you know that? という言い方でないと全く意味が通じないことになる。主語・述語・目的語が順序良く並んでいないとそれぞれの単語が機能しないのが英語の特徴。もちろん、日常会話では可能な範囲で省略される部分はあるけども。

例: Did you get it? → Get it? / Got it?

もちろん日本語でも英語と同等に明確かつ具体的で論理的な話し方が出来る。それが求められる場面では、ちゃんと叙述的な日本語が話されているはずだ。

文脈依存度の低い言語である英語でも、それを話す国によって文脈依存度が高まることもある。例えばシンガポール・マレーシアの華僑が話す英語は中国の文化や中国語の構造を基にしているため、英米豪人が話す英語に比べて文脈依存度が高い。中国語もまた、文脈依存度の高い言語と言われている。

などとエラそうなことを言いつつも、俺も high context な話し方で普段の生活を送っている。「コッばアソコに」という具合に。意味するところは Can you take this to 〇〇 (there) ? であるが、単に this to there だけで通じてしまうのが日本語。

全国通訳案内士を対象にした講師募集

しかしながら、今回の「地域の観光人材のインバウンド対応能力強化に向けた研修会における講師養成講習会」の講師に応募した結果で採用ということになれば、そうした “日本語” での話し方での講習が出来るはずもない。特に英語を教えるということになれば、それらの違いをきっちりと踏まえた指導・講習にする必要がある。↓ が、先月中旬に届いた観光庁からのメールの内容。

英語全国通訳案内の皆様

平素より、観光行政にご理解・ご協力を賜りまして誠にありがとうございます。

さて、国土交通省観光庁では、新型コロナウィルス感染症の影響により、インバウンドをはじめとする観光需要が低迷する中、地域の観光人材のインバウンド対応能力を強化させ、地域へのインバウンドの誘客・長期滞在・消費拡大を図るため、語学力だけでなくコミュニケーション・ホスピタリティ・接遇能力等に優れた全国通訳案内を講師として派遣し、地方自治体・DMO・宿泊事業者等地域の観光人材を抱える組織へ研修会を実施します。

そのため、今回は“英語の全国通訳案内”の皆様を対象に「本研修会の講師を養成する講習会(講師養成講習会)」を10月末から実施いたします。

つきましては、添付書類「地域の観光人材のインバウンド対応能力強化に向けた研修における講師の募集について」または著名欄に記載のURLよりHPをご覧いただいたうえで、本研修会の講師応募をお待ちしております。

宜しくお願い致します。
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講師養成講習会事務局

まあ、このインバウンド全滅のなかでこうした研修会というのはどうなんですかね。果たして参加者がいるのかと。対象者は地域の宿泊業者やインバウンドによる消費を当て込もうとする業者。もはや経営体力が持たず、撤退・休業・廃業・倒産が相次いでいる状況で、「よーし、一丁インバウンドの研修会を受けに行きますか!」という気になる業者は多くないだろう…。

喜ぶのは、予算の消化を目論む行政関係者とそれにぶら下がって飯を食うコンサルとか補助金ゴロだけ、なんていう今までのやり方が踏襲されなければヨカばってん。