R.I.P. Eddie Van Halen

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Passing of Eddie Van Halen

1978年に VAN HALEN の1stアルバム “VAN HALEN” で彗星のように現れ、その驚異的な新しい技術でロックギターに革新をもたらした Edward Lodewijk Van Halen (本名 通称 = Eddie Van Halen)、エディが65歳で亡くなった。

今回は、俺の人生におけるエディについて書いていこうと思う。

エディは「タッピング」という右手を使って押弦することによる技術で、ロックギターの可能性を広げた第一人者としてよく知られている。

それまでのロックギターは「ペンタトニックスケール」という、通常は7音によって構成される音階(いわゆる、ドレミファソラシド)のうちの主に5音(日本では“ヨナ抜き”というペンタトニックスケールが有名)や、 “♭5th” を加えたブルース音階を使ってプレイされることが多かった。

しかしながらこれらの型にとどまらず、クロマチックや1弦3音などのスケールも駆使しつつ、そこに更にタッピングによって左手ではカバーできない範囲の音を加えてトリッキーな音を出したり、それにトレモロバーで音程を変化させたり、ハーモニクスを絡めたりと自由自在な発想でギターを操った。

ロックギターの歴史では、Jimi Hendrix が絶対的な改革者とみなされているが、70年代後半に Eddie が現れると広範囲のギタリストに影響を与え、ロックギターの定義そのものを書き換えてしまった。そしてついに「エディ前・エディ後」という言葉で表されるようになる。Jimi の登場がロックギターの宗教改革だったとすると、エディの登場はいわば産業革命にも等しい出来事だったと言えるでしょう。

EVH との出会い

俺が初めて意識して VAN HALEN と出会ったのは1990年発表の “For Unlawful Carnal Knowledge”、略して FUCK という素敵な名前のアルバムを高校二年生の時に聴いたことだった。当時16歳の俺はハードロックにどんどんハマっていて、確か筋肉少女帯のギタリスト、橘高文彦の教則本からエディの名前を知ってこのアルバムに辿り着いた。

このアルバムをレンタルショップで借りて、カセットテープにダビング。当時の高校生には最も頻度の高い音楽の入手方法だった。CDアルバムを買えば2,500円という大金を支払う必要があるが、この方法だとレンタル料300円 + カセットテープ200~400円くらいで済んだ。

テープにも「ノーマルポジション」・「ハイポジション」・「メタルポジション」といった種類があって、右に行くほど値段が高かった。限られた予算の中でどれを買おうか、思案したもんだ。(優柔不断)

確かこのアルバムはメタルポジションのテープにダビングしていたと思う。まだ実家には残っているかも。そしてテープのケースには「レタリングシール」という、アルファベットを一文字一文字貼り付けるシールでタイトルや曲名を表示させていた。

というわけで、当時はアルバム毎どころか一曲一曲が宝物のようなもので、このアルバムも最初から最後まで聴きまくった。別に購入したスコアブック(楽譜)の歌詞を見ながら歌うことで自然に英語の発音を学んでいった。特にリエゾンはこのアルバムで身に付いたと思う。当時の俺にとって VH といえばこのアルバムで、Dave Lee Roth 期(1978 – 1984)の音は軽薄なアメリカンロックだと思って聴かず嫌いだった。

EVH のサウンド

FUCK でのギターの音は十分に歪んでいるのに、コードやアルペジオでの各弦の音がそれぞれ聞こえるのが印象的だった。歪み(overdrive/distortion)が強く掛かっていると、アルペジオやコードを弾いても音が混ざってしまい、普通は各弦の音は聞こえない。どうやったらこのアルバムでのギタープレイが出来るのかを知りたくて、高校2年生のある日、昼休みに近くの書店に行ってスコアブック(楽譜)を買いに行った。

まあ、チンプンカンプンで全く弾けんだったばってんですねw 右手でタップしてもちゃんと音が鳴らなくて、すぐに諦めた。”Pleasure Dome” での冒頭のアルペジオの無理な運指も結局できずに諦めたw アルペジオをクリアに聞かせるのは、アンプの歪みを絞ればどうにかなったが、そうすると今度は通常時の歪みが得られないのが問題だったわけ。

まあ、当時の機材である Greco の Flying V と12W の Marshall に BOSS の OD-2 ではどう頑張っても近い音を出せるはずもなかったという。

その、Greco のギターを持った写真が出てきたので懐かしさのあまりしばらく眺めていた。23歳の時の写真だ。このしばらく後に台風でこの部屋はグチャグチャになってしまった。飛来した瓦がサッシを突き破って、あやうく俺は死ぬところだった。

このFUCK のスコアブックは、後に Ibanez のギター + Marshall JTM60 + BOSS GT-5 との交換材料の一つになって人手に渡った。確か35,000円とこのスコアでギター・真空管ギターアンプ・マルチエフェクターが手に入ったのだから、かなりお得な取引だった。ありがとう、T山くん。

そして、↑のセットを金欠で手放したT山くんが VAN HALEN のファンだったということで改めて Dave Lee Roth 期の VH を聴いてみた。そしたら、Panama のリフにやられたね。

EVH の曲に挑戦

VH の代表曲の一つである “Panama”。1984年発表の “1984” というアルバムに収録されている。「パナマ」という語感といかにも常夏を感じさせる曲調で、とにかく明るい気分にさせてくれる曲。

最初のリフが major + sus 4 というロックにおける王道の構成ながらも裏拍から始まるというエディならではのタイミングの取り方で凡百のギタリストとの差が見える。そして続いての展開がマイナーコードですよ。しかしながらちっともマイナーコード感がないという。むしろ、当時行ったことも見たこともなければどこにあるかも知らない熱いパナマが見えてきた!

ここでもやっぱりコードやアルペジオでの各弦のクッキリ感が出ている。ギターソロでも、トレモロバーやタッピングを使ってノリノリ。拙い演奏ながら、今回この曲をやってみた。

セッティングは、前述の Ibanez に BOSS OD-2 を通して Marshall JMP 1987 に繋ぐだけ。OD-2 の電源は入れず、ただ通すだけ。すると少し音が減衰してウォーム感が減少する。殆ど直結ですな。1987 の Vol. は 10 で、Power Brake が11時くらい。

ギターに関していうと、Eddie Van Halen の曲の中でも難易度は低めなので脱初心者くらいの技量があれば挑戦できると思う。とか言いながら俺自身が弾ききれとらんですが…。

ちなみに、ギターば弾きよりますの流れで VH の曲もここで紹介しようと思っていたが、図らずもこのような形でここにうpすることになった。

“FUCK” から “Right Now” という曲で、2000年代にはアメリカの政治家(特にオバマ前大統領)によってよく取り上げられていたという。エディによるピアノから始まり、荘厳な雰囲気が曲全体を覆っている。

ヘタですな。まあ、弾けない鍵盤楽器を頑張って練習しましたw

苦境には VH の曲を聴こう

今年は COVID での世界規模での禍に始まり、それに付随した不況や社会構造の変化、そして数々のロックスターの死が続き、2019年までは「2020年はこれまでにない最高の年になるだろう!」という当初の人々の予想・期待を裏切る年になっています。

俺にとっても、ガイドとしての仕事がなくなってしまったり、やりたいことが出来ない状況に陥ってしまったりと苦境で藻掻いている状態ではある。

しかしながら、常に希望を抱いて生きていたいもの。そんな時はやっぱり、ハッピーになれる VH の曲を聴いて日常を過ごしていきたいと思う。

VAN HALEN のアルバムは、個人的には1978年から1995年までのどのアルバムもハズレはないと思います。ベスト盤である “The Best of Both Worlds” は Dave Lee Roth 期と Sammy Hager 期の名曲を網羅しており、入門編として最適かと。

もちろんそれ以外にもいい曲はいっぱいあります。特に 1st の “VAN HALEN” と 6th の  “1984” は 素晴らしい。

とか言いながら、ここでシメとして聴いてもらいたい曲は1986年発表の “5150” から。シンガーが Dave Lee Roth から Sammy Hager に交替して初のアルバムで、以前までのいわゆる「パーティ!パーティ!アメリカンロック!」という音楽性から方向転換。

そのアルバムから “Dreams” という稀代の名曲が誕生。苦境の中でも常に「夢」を抱いて行きたい、高みに高みに昇って行こう。夢を抱くことの大切さを持ち続けることの大事さを歌った曲。

 

 

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