造林の仕事

ついにこの仕事をやる時がやってきた。「造林」である。

目次

造林とは

読んで字のごとく、「林を造る」です。木を植えて森林を造るための様々な作業を指しています。ここでいう造林というのは、有用樹種(スギ・ヒノキ・カラマツ・アカマツ・クロマツ・エゾマツ・トドマツ等の針葉樹が殆ど)を伐採した後にまたそれらの苗を植えて、よく育つように環境を整えることを言います。まあ、多くはスギですばってんね。それには以下の作業があります。

・地拵え(じごじらえ)

伐採した後の現場を片付けて、苗を植える準備作業。地形が許せば周りにネットを張ってシカやイノシシの侵入を防ぐ。

・植え付け

苗を 約 2m 間隔で植えていく。場合によってはシカによる食害を防ぐために保護ケースを被せることもある。

・下刈り(下草刈り)

植え付けの後、初夏になると草が生えてきて苗木の光合成や栄養の接種を妨げます。そこで苗の生長を助けるために周りの草(下草)を刈り取る。今回行なったのはこの工程です。

年に一回か二回行われます。一回の場合は七月、二回の場合は六月と八月に行われることが多いそうです。今回六月に行っていつことと、「盆くらいまであるけんな」と言われていたので、年に二回の下刈りということでしょう。→ 6/30加筆:現在は年に一回の下刈りが主とのことでした。

・間伐(かんばつ)

五家荘の人たちは「かんぱつ」と発音します。最初は 2m 間隔で植えつけられた杉は、それらが生長するにつれ木々の間隔が狭まり日当たりが悪くなってきます。そして生長の優劣が生じてくるために不要なものを伐採します。これによって他の杉をさらに太く高く生長させることが出来ます。

間伐された杉の木は「間伐材」として有効利用されています。

下刈り

下刈り現場へ向かう

朝6時に待ち合わせ場所にて5人乗りのトラックに乗り、現場である「一本樫(いっぽんがし)」へ。途中から舗装のない「作業道」を登っていきます。トラックを運転する方は、この待ち合わせ場所から50分くらい離れた場所からやってきます。おつかれさまでございます。

そして待ち合わせ場所から30分ほど登った場所が下刈りの現場。標高約1,400mの地点だそうで、熊本県最高峰の国見岳(1,739m)を始めとして烏帽子岳(1,692m)・小国見岳(1,708m)・ウードヤ山(1,356m)・五家宮岳(1,538m)、さらに小金峰(しょうきんぽう/こがなみね 1,377m)を一望できるかなりの絶景ポイントでした。

↑の写真の中央ちょい右下に注目すると、小さな部落が見えます。ここは五家荘を構成する一地区の樅木(もみぎ)の中の「八八重(はちはえ)」という部落です。標高約800m。

普段は車で移動するけん気づかんですが、山の上から眺めてみると、「よー、こぎゃん場所に住んどるな~。」という気持ちが改めてこみ上げてきます。まさに山奥ですもんね。もちろんコンビニなどあるはずもなく、それどころか今や商店もありません。

現在でも営業している店は「天領庵」という食事処と「五家荘渓流キャンプ場」くらいのものです。以前は酒屋や商店もあったそうですが、人口減少に伴い廃業されていきました。

俺の住んどる椎原は標高500mだけん、ここよりは“山奥感”は薄いですがw それでも山頂から眺めると、自分でも信じられんほど現代社会から隔絶された光景があります。

下刈り作業

ちょっと話が脱線しましたな、ガハハw で、ついに下刈り開始。下刈りを行なうための草刈り機は、先週購入したばかりの KIORITZ SRE2420 です!五家荘のみならず、美里町やその周辺の林業・農業従事者にとっての “マーシャル・ショップ“ である、「上田農機」にて購入。排気量22.8cm3 で剛性の高いジュラルミン製です。

で、現場はどういったところかというと、前述の通り素晴らしい光景ではありますが山の中ということは即ち急勾配。この急勾配で踏ん張りつつ、苗木を避けて周りの雑草を刈り取るのがこの「下刈り」という作業です。

下刈り機に加えて、飲み物・燃料・替え刃・工具などを入れたリュックを背負って作業を行う。俺は25㍑のものば持って行きましたが、他のみんなは10 – 15㍑程度のもの。なるだけ軽量化して体への負荷を減らすのが大事。

なお、苗木は雑草に隠れて見えないこともあり、場所によってはかなり注意していないと誤って刈ってしまうこともある模様。まあ、前述の通り苗木は約2m毎に植えてあるので見当は付きます。(2m毎に植えてあるとは言ってない)

作業は一時間ごとに休憩を取ります。飲み物を飲んだり下刈り機(“カッター”ともいう)に燃料を補給したり、俺は写真を撮ったり景色を眺めたり。↑の写真の通り、かなりの急勾配です。斜めに傾けて撮影しとらんよ。

そして午前7時に始まった作業は午後2時30分に終了。肉体的負荷の高い作業に加えて気温の高い時期なので、早朝に始めて午後の早い時間に仕舞うとのこと。そらあ、これば長時間毎日しよったら体のぶっ壊れるて!何より、急勾配で踏ん張るせいでつま先が滅茶苦茶痛い。あとで地下足袋を脱いでみてみたら、真っ赤に腫れあがっとった。

一日やりきった男の笑顔である。これからしばらくは “Man on the green mountains” でいきますけん。

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