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株式売買の生活
前回の投稿から、もう4週間かw
少年老い易く学成り難し、とは言いますが、正に言い得て妙。
前回は、株式投資を覚えて一時期お山の大将の気分になったサルの話でした。その山には上りがあればもちろん下りもあるということで、普通の登山の下りはウキウキですが、ここでの下りは地獄。
睡眠不足も精神状態の悪化に拍車をかけました。米国株式市場の夏時間での取引時間は日本時間の 10:30 pm ~ 05:00 am 、それに加えて「時間外取引」というのがあり、”Pre-market” が 05:00 pm から、翌 05:00 am 閉場後の “After hours” が 09:00 am までで、一部の参加者の間で取引が続きます。冬時間はこれより1時間後ろにずれる。
その間はもちろん株価の上下を注視し、該当銘柄についての情報収集や次に狙うべき銘柄の選定のための情報収集に努めます。といっても、まともな思考能力がない状態でしたが。
妻に公開していた証券口座もいつしか見せることが出来ない額に落ち込んでしまった。なんせ、最盛期の20%しか残っていないという。これからどうするんだ、マジで。
勝負銘柄の移り変わり
この時に握っていたのは、やはり $BNGO 。5/13に2021年第1期決算報告があるので、それに一縷の望みを託していました。前回の2020年第4期決算報告の際には大きく値を落としたものの、今回は売上増・収益改善間違いなし!の情報を得ていたからです。
しかしながらその日に向けて株価はダダ下がり。6.8ドルで買ったその株は遂に5ドルを割った。NASDAQ の指数が下がるにつれて自動的に小型株全般も売られていたのだった。もうあかん、決算で巻き返すどころの話じゃない…。
ところがその前にある情報が入ってきた。「とある銘柄がこれから大ブレイクに向かうと見られている。日本語情報はないが、頑張って英語でこれこれの情報を自分で読み解いて、自分で判断してくれ。」とのことで、その銘柄についての日本語での情報が殆どない中でも通訳案内士の英語力を活かして YouTube や様々なサイトでの情報収集を行なった。
ざわ・・・ ざわ・・・
これは…!イケる!という確信を持つまでに数日を要しましたが、前述の $BNGO の決算日についに乗り換え。ここまで信じて握ってきたけども、もうこれは間違いない!というか、今これに賭けないと俺に未来はない!と清水の舞台から飛び降りる覚悟で乗り換えました。
その銘柄は、$AMC というアメリカ最大かつ世界最大の映画館チェインです。1月に $GME (GameStop) という銘柄と共に有名になったので、知っている人もいるかもしれんですね。
ちなみに、GameStop という会社は日本でいえばゲオ(GEO)みたいな会社で、ヴィディオゲーム販売を主力事業としている、今となっては旧式の商売でした。
これが機関投資家からは「将来のない事」と見られ、全力で空売りされており、その結果として株価は低迷していました。
AMC という銘柄
大手機関(ヘッジファンド等)による株式市場の支配・搾取に対して立ち上がった個人投資家が団結して「空売り」の集中した銘柄を買い向かうことで「ショートスクイーズ」という空売りされた銘柄の株価踏み上げによる急騰を起こし、一時的にヘッジファンドに大打撃を与えた事件はまだ記憶に新しいところ(それが原因で破綻したところもあった)。この流れは一旦終息したかに見えましたが、依然として種火は残っており、今回は $AMC を舞台として
「史上最大のショートスクイーズ」を起こすために徹底的に抗戦することになった。
ここでいう「ショート」というのは、一般的に“空売り”のこと。「スクイーズ」というのは、“踏み上げる”という意味です。
その個人投資家たちは自らを “Ape” と呼び、インターネット上の掲示板 “reddit” などで情報交換・団結しています。また、 YouTube 上でも様々な人たちが情報発信を行なってこの流れを先導。そしてこれに共感した人々が $AMC の株を少しずつでも買って参加している。
なぜ Ape (類人猿)と呼んでいるかというと、自身を握力 500kgf といわれるゴリラに例えているからでしょう。ここでいう握力とは、株を売らずに握り続ける力・精神力のこと。
個人 対 大手機関
顛末はというと、300億ドルを上回る運用額を誇る大手ヘッジファンド(HF)の Citadel (シタデル)が AMC の株を空売りし続けていた。citadel というのは、「(町を見下ろす)砦」という意味です。ちなみに日本の城も citadel の定義に当てはまります。また、「最後の拠り所」という意味でもあります。果たして個人投資家にとってどちらの意味なのか…それはもちろん「そびえたつデカいクソ」でしかないでしょう!
しかもその空売りの手法は “Naked shorts“ と呼ばれる貸株の手当がなされていない違法なものも含まれていると言われている。
通常の空売りの手順は、証券会社などを通じて株の持ち主から株を借りて市場で売却、そしてその株が値下がりしたら買い戻すことにより利益が出るという仕組み。
しかし逆に値上がりした場合は含み損、しかも株を借りている間は利息が発生します。定められた期限までに持ち主に返却する必要があるので、いつまでも空売り状態を保持しておくことは出来ない。
しかし Citadel は何らかの手段で “synthetic shares” (合成株)という貸主のいない株を作り出し、それを市場で大量に売却して AMC の株価を下げようとしていた。これを “Naked shorts” と言いますが、2008年の金融危機以降、アメリカの株式市場では一部の状況を除いて違法な手段とされている。
だって、株価操縦ですけんね。
大手機関の狙いと個人側の対抗策
その狙いは、コロナ禍で収益の弱り切った AMC の株価を極限まで下げて資金調達の道を断つことで倒産に追い込み、自らが出資する業界第2位の Cinemark を業界首位に持ち上げつつ、自らの所有する建設会社が AMC の跡地(アメリカで1,000ヶ所以上に上る)での工事を請け負う、というえげつないものだった。(と言われている)
しかも、 AMC の株価を下げるために AMC の発行する約5億株を上回る合成株を売却して株価を下げ、更にその上それらの株の買戻しをしていないというやりたい放題。
このような、大手機関による市場での(違法な)価格操作による搾取行為に対して憤った個人投資家が立ち上がり、市場での公平性・富の大規模な移動などを求めた、いわば金融市場における民主化運動が今回の発端。
そして、この運動の最大の目標は
“史上最大の Short squeeze” と呼ばれるもので、決済期限を過ぎても未だに清算がなされていない“合成株”を全て買い戻させてそれが株価に反映されることにより、驚異的かつ爆発的で、歴史上例を見ないほどの株価の上昇を目指すというもの。これによってヘッジファンドは破綻し、極端に富める者から今回 AMC に賭けていた個人投資家たち “Ape” へと富の大移転が起こる。
空売りした株は、その後に必ず買戻しをしなければいけません。しかもその買戻しには定められた期限があり、この期日までにはポジションの清算をする必要があります。しかし Citadel はこれを無視して相も変わらず空売りを仕掛けて株価の下落を狙っていると見られています。(7/6現在。7/8には一部買戻しが発生したとの見方)
ということで、この戦いは継続中でありどちらが勝つのかは未だに分かりません。が、個人側が有利に進めていると思われています。まあ、大手側がどのような戦略を描いているのかはこちらからは全く分からんけんですね。
とにかく、勝つしかない。俺が来年のコロナ終息後にガイドとして復活するまでの資金、もしくは今後ガイドの仕事がなくなっても他に何らかの事業をする資金を得るには。